当院でお作りする精密義歯は、今までの入れ歯が安定しない方。噛むと痛くて上手くお食事ができない方。話をしていると入れ歯が緩んで気になる方。入れ歯が気になり人前で笑ったり大声で話す事ができない方に非常に適しています。
歯が全くない患者さんに、インプラントをすすめる歯科医院が多いと聞きます。しかし、インプラントを支えているのはしっかりとした骨で、骨が少ない場合は作る必要があります。そのため、骨がしっかりしていないと、いくらインプラントで治療してもうまくいかないというのが私の考えです。義歯の場合も、骨が薄い場合は難症例とされていますが、口の周りの筋肉・唇・舌による維持を期待できるため優れていると思います。
また、インプラントは出血をともなう処置なので、糖尿病や高血圧など慢性疾患がある方がインプラントをおこなう場合、良好な状態にコントロールされている事が条件になります。骨粗鬆症なども治療が制限されるので、入れ歯の場合は全身疾患を有する方でも安心して治療がおこなえます。
インプラントはリスク・費用ともに負担が大きいため、患者さんの安全性を優先するのであれば、私は入れ歯の方が優れていると考えています。
保険の義歯は、
などのデメリットがあります。
一方で、当院で扱う精密義歯は、
精密な型取り、噛み合わせの記録、上下顎の高さ、位置の記録を一回でおこなうため従来のように何回も来院することがありません。
噛み合わせの高さを記録しながら型取りをするため理想的なバランスがとれます。
型取りをした印象をそのまま咬合器に付着するため狂いがありません。
患者様自身の圧力によって、口の周りの筋肉・舌・唇に記録をとることができます。
人工歯は口の中の筋肉のバランスのとれたところに並べる事ができます。
従来は床の形を舌の奥の方に伸ばしていたため、舌が動くと入れ歯を外してしまっていたが舌の前の方を利用するため自由に舌を動かす事ができます。そのため、唾を飲み込んだり発音がしやすくなります。
重合も、保険とは違う精密な重合方法でおこなうためウォーターフィルム現象を得ることができ、維持が良いです。
骨が極度に薄い症例は今まで難症例とされてきましたが、口の周りの筋肉・唇・舌による維持が期待できるため影響が少なくなっています。
ドイツのカボ社の咬合器を使用することにより、技工士との連携がしっかりできます。
などの多様なメリットがあります。
当院で製作した精密義歯は、「ピタッと入って」「動きにくい」のが特長です。試適時と完成時のかみ合わせ・吸着・安定・維持もほぼ変わる事なく装着時の調整は、ほとんど必要としません。これは保険の義歯では考えられず、重合の精密さ完成度の高さを感じます。下顎義歯に関しては、装着時にジュブジュブと音がして口腔内に収まり、上に引いても外れることはありません。(ウォーターフィルム現象)また口を開いた時、舌・唇・頬粘膜で床を維持しているため人工歯しか見えず浮き上がることもありません。
高齢の方は義歯を入れるのが初めてではない方がほとんどです。今までに少なくても数回作り直されてきていますので、義歯の良し悪しは患者様が実体験で一番わかってらっしゃると思っています。なかには、この義歯で今までよく食事ができていたなぁと思えるものでも、患者様なりに使いこなしてきているのです。「入れ歯はこんなものだ…」と諦めにも似た思いで。そんな患者様にも、快適に使っていただける義歯を目指し、日々研鑽しております。
保険の入れ歯と比較すると
項目 | 保険の入れ歯 | 精密義歯 |
---|---|---|
型取りの種類 | 基本印象 | 精密印象 |
上下の型取り | 上下別々 | 上下一対 |
咬合器付着 | 平均的な位置 | 頭蓋に対する位置 |
人工歯 | 保険内のレジン歯 | 自費専用の硬質レジン歯 |
人工歯排列 | テンプレートなし | テンプレートあり |
義歯の外形 | 一般的な外形 | シュトラックデンチャー |
義歯の材質 | 荒い | きめ細かい |
強度 | 弱い | 強い |
義歯の厚さ | 厚い | 薄い |
摩耗 | 多い | 少ない |
衛生面 | 汚れやすい | 汚れにくい |
保険の入れ歯は既製トレーを使用しますが、顎の骨の形は人によって全く違うためより精密に型をとるためにはその人にあったカスタムメイドの型取りトレーが必要になります。
保険を含む従来の入れ歯は上下別々に型取りをおこないますが、後から上下の歯を合わせるので中々精密に合う歯が出来上がらないのですが、上下一対で型取りをすることでお口の中の状態を立体的にコピーすることができます。
上下別々の模型を平均的な位置で付着するのに対し、上下一対のものを頭蓋に対する位置で付着するため誤差がありません。
保険の人工歯は既製のプラスチック製で、天然の歯のような固さや溝がないため、歯ぎしりする事が難しく、また見た目にも入れ歯とわかりやすいが、リヒテンシュタインイボクラー社のものは硬質レジン製で天然の歯と同じような機能をもち、しっかり溝もついているので、食べ物をすりつぶしたり歯ぎしりをすることも可能です。
テンプレートを使用し適切に排列する事で、前で噛んでも横にずらしても、前後左右でバランスをとるため外れる事がありません。
従来の入れ歯の形は、より安定させるため下顎の舌の後ろを長く伸ばしているため、口を大きく開けたり、舌が動くと浮き上がってしまう事が多く、舌の動きを阻害したりすることがあるのですが、シュトラックデンチャー(精密入れ歯の原型)は舌の前方あたりのやわらかいところを利用し、舌の動きを阻害せず自由に動かすことができ、入れ歯の浮き上がりも抑えることができます。
保険の入れ歯は柔らかいレジンで作られているため、食べ物やコーヒー、タバコの汚れを吸い、樹脂内部まで汚れや臭いが染み込み、口臭の原因になる事があります。精密義歯は吸水性の低いものを使用し、臭いが染み込みにくいので衛生的です。また樹脂内部に細かい気泡が無いため強度が上がり割れにくく、作る時の変形や収縮も少ないため適合性が良いです。
保険の入れ歯でも上手にお食事されている方ももちろんいらっしゃいますが、硬い物はなんとか噛み砕けても、弾力のある食べ物は難しい場合が多いです。噛むたびに入れ歯が動き歯肉に食い込んだり、ゴマのような小さいものが歯ぐきの間に入り込み痛くて噛めなかったりするため。精密義歯にすると患者様が食べたいものを何でも召し上がることができると思います。(お漬物・海苔巻やお寿司など)
従来の入れ歯と同様のお手入れ方法で問題ありません。保険の入れ歯と違い重合方法や材料が違う為、汚れ・臭いは付着しにくくなっています。また、定期的なメインテナンスは必要です。噛み合わせのチェックや維持力、粘膜の状態を確認します。超音波洗浄器にかけ汚れ・着色をきれいにしますので、ぜひお越しください。
※精密義歯は、基本的には全ての方に適応です。ただ、精密な型取りの際、お口を閉じた状態でおこなうので鼻呼吸ができない方にはおすすめできません。
治療費のおおよその目安は、【治療費について】のページの『総義歯』の欄を参考にしてください。
治療工程は、お口の中の必要な情報を得るため上下別々の型取りをします。模型にして良く研究し精密な型取りをするための準備をします。上下の高さ、顎の位置を決めます。(以前使っていた入れ歯の噛み癖と同じように作るのではなく、正しい位置にもどして記録をします。)上下一緒に精密な型取りをします。精密な型取りをもとに、顎と同じ動きができる咬合器に装着し専門の歯科技工士が入れ歯の製作をします。その後、入れ歯の試適(適合・審美的・噛み合わせ・発音)をして、完成・装着となります。
治療期間は、約一ヶ月~一ヶ月半です。